2007年11月20日

「闇の淵」

 レジナルド・ヒル作「闇の淵」を読みました。ダルジール警視とパスコー警部のシリーズのひとつです。

 炭鉱の町で起きた幼女行方不明事件は、遺書を残して自殺した幼女連続殺人犯の仕業とされ、一件落着となっていましたが、少女が行方不明になる前に一緒にいた炭鉱労働者ビリー・ファーを疑う人もいました。同じ炭鉱で働いていた息子のコリンは父が事故で足を悪くし地上で働くようになってから船員になっていましたが、父が廃坑に落ちて亡くなってから、父の死の真相を知りたくて炭鉱に戻ってきていました。パスコーの妻エリーは炭鉱夫を対象にした講座の講師を勤めることになり、斜に構えているところがあるものの美貌で頭のよいコリンに惹かれます。

 警察のお偉方が退職して選挙に出ようとし、新聞に回想録を出し、その中で幼女が行方不明になったとき犯人とされた男にアリバイがあり、それに気付かなかったのは警察のミスだと書かれていたため、ビリーに対するあいまいな疑惑が人々の間に再燃し始め、そこに殺人事件が起き…

 パスコー警部は大学出なのですが、イギリスでは大学を出て警官になる人が少ないのか、警官が嫌われる職業なのか(単に著者のユーモアかも)、人の自分に対する態度に、パスコーは少しわだかまりを感じているようです。おもしろいのは、妻のエリーがフェミニストであり環境保護活動などにも参加したりしているところです。


 うろ覚えなのですが、梨木香歩さんの「春になったら苺を摘みに」では、たしか下宿していた家の女主人にさそわれてデモに行き、あとでイギリス人同士で「彼女を誘ってはまずかったのでは?国外退去にされたりするはめになったら大変だから」「そうなったときはまたデモ(署名活動だった?)をすればいいじゃない」というような会話が交わされていました。

 日本では一部マスコミ(3K系?)やネットうよが「プロ市民」などという言葉を流し、一般的に「誰かがやってくれる、言ってくれる」と思っているように感じますし、いまだ「お上におまかせすれば間違いない」と思っているのんきなかたもいるようです。
会報を送ってもらうくらいで何もしていないのですが、一応会員になっている食の安全に関するある会からの封筒を見て、家人が「こういう人たちにもっと頑張ってもらわなきゃ」と言ったのですが、「こういう人たち」って誰なのでしょう?専門家でないとわからないことも多いですが、専門家だって御用学者なら予算も出るし、政府の研究会のようなものに出るだけでお車代をたくさんもらえるでしょうけれど、時に大企業や政治家・官僚に都合が悪い結果が出ても公正にものを言おうとする人たちはそういうわけにいきません。私が見た範囲では、功名心からやっている人などいなくて、知った人が手をあげなくては、という気持ちから発言している人たちです。
私達みんなが関心を持ち、情報を広げたり意思表示したりしないと、目先の利益目的で何かが決められてしまいかねません。

 「ビッグイシュー」の雨宮処凛さんのエッセー「世界に当事者になる」シリーズが面白いです。79号「高遠さんと会う」では、高遠さんほどでないにしろ、雨宮処凛さんもイラクに行こうとしたときバッシングされ、「金と時間に余裕のある特権階級だけしかイラクになんかいけない」などとバッシングしたのは、ある意味、その通りお金に余裕がなかったり、仕事に忙殺されていた人たちで、高遠さんたちへのパッシングの背景にもそういう人たちが見えた、と書いています。一部引用させていただくと、『もっともいびつだと思うのは、反戦運動などにかかわる人たちが「特殊」な人だと思われてしまうところだ。「活動家」と「一般の人」という分け方。そんなのって絶対に変で、なぜ、この国では、大人になった途端に不自由な「職業人」としか生きられないのだろう…』

 少し前のアムネスティのニュースレターで姜尚中さんが「差別されている人に話を聞かせてもらう」といったとき、聞き手は被差別者との間に線引きをしている、というようなことをおっしゃっていたことも思い出しました。

 この国では総理を含め大臣までが人ごとのような発言をしています。

ずいぶんと話がそれてしまいました。家の中が片付かない理由を推理されてしまいそう…
 
posted by ヘリオトロープ at 13:31| Comment(0) | TrackBack(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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